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宮古島文学賞関連事業 第1回 U18短い物語コンテスト~ひらけ、こころ!~ 入賞作品

第1回「U18短い物語コンテスト」」には、島内から11作品が寄せられました。
11月14日(木)に選考会を行い、入賞作品が決定いたしました。入賞作品は次のとおりです。

入賞作品【3作品】

〇ひらけ、こころ!賞(最優秀賞)
作品名:「自分道(じぶんみち)
本 名:下地希星(しもじ・きらり)
ペンネーム:海月
年 齢:18歳
学 校:沖縄県立宮古高等学校3年

〇宮古島市文化協会賞(優秀賞)
作品名:「ビッグサプライズ
名 前:仲間友佑(なかま・ゆうすけ)
年 齢:18歳
学 校:沖縄県立宮古高等学校3年

〇特別賞
作品名:「環菜と一番(かんなといちばん)
名 前:友利新菜(ともり・にいな)
年 齢:9歳
学 校:宮古島市立東小学校4年

入賞作品選考評 選考委員長 森田たもつ

 応募11作品はどれも読みごたえがあり、予想以上のレベルでした。
 学業の悩み、将来の夢、恋愛といったテーマから、現代社会に深く横たわっている孤独、いじめ、自殺、さらに環境問題など幅広い内容の物語が、若者らしい視点と感性で描かれており、書き手の心情や思いが十分に感じられました。選考の結果、純文学、SF、児童文学のジャンルから、優れた、本コンテストに相応しい三作品を選ぶことができました。バランスのとれた結果だったと思います。今回,選にもれた中にも、主人公の設定や物語の斬新さなど、将来性を感じさせる作品がたくさんありました。来年度も年齢の該当するみなさんは、ぜひチャレンジしてもらいたいと思います。


ひらけ、こころ!賞(最優秀賞)
『自分道』 下地希星

 大学受験を控えた高校生の主人公が、葛藤しながら進むべき自分の道を見出していく物語である。父親が医師、母親は薬剤師というエリート一家で育った私は、自分の生き方を見つけられないまま、両親の期待に沿うかたちで医学部を目指していたが、大学のオープンキャンパスに参加する飛行機で出会ったキャビンアテンダントにひかれ、両親の反対を押し切ってその職業を志す。強く反対していた両親が、やがて娘の決めた進路を応援するなど家族の絆にもふれている。細部にリアリティのある物語が、けれんみのない確かな文章で書かれており、『自分道』という素直なタイトルと相まって受賞に相応しい作品である。

宮古島市文化協会賞(優秀賞)
『ビッグサプライズ』 仲間 友佑

 未来における地球の環境問題をテーマにした物語は、ひとりの歴史学者によって語られる。地球の温暖化が加速度的に進んで、日中の活動が耐えきれないほどになり、人間は2447年には「昼夜逆転」の生活を余儀なくされている。そこで環境の悪化をおおもとで食い止めるべく、二名を過去にタイムリープさせる。効果的に布石の打たれたストーリーを最後、1947年に実際にアメリカのニューメキシコ州で起きた「ロズウエルUFO事件」と結びつけたことが物語に真実味を与えている。
 環境を破壊し続ける人間の愚かさが風刺の効いた物語に仕立てられており、作者の才能を感じた。完成度の高い作品であった。

特別賞
『環菜と一番』 友利 新菜

 テストで初めて悪い点数を取った小学生の中原環菜は、悩みを解決するために世界一周の旅に出る。なんともユニークかつ壮大なストーリーで書き手の発想の豊かさを深く感じさせる作品である。「自分探しの旅」に出た環菜。旅の道連れの河合優亜と訪れた各国の人々に悩みを打ち明け、自分を見つめ直し、成長していく。帰国した環菜は旅の途中で出会った人々の言葉を思い返し、自分を信じて生きていくのだった。
 「環菜と一番」というタイトルは選考会でも高評価でした。作者には、読み手を物語世界に引き込む力、いわゆる、ツボを押さえた物語を生み出す力量がある。そんな印象を受けました。最年少の作者には、来年もぜひ、応募してもらいたいと思います。

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