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宮古島文学賞関連事業 第2回 U18短い物語コンテスト~ひらけ、こころ!~ 入賞作品

第2回「U18短い物語コンテスト」」には、島内から6作品が寄せられました。
11月13日(木)に選考会を行い、入賞作品が決定いたしました。入賞作品は次のとおりです。

入賞作品【2作品】

〇ひらけ、こころ!賞(最優秀賞)
作品名:「雷王の子(らいおうのこ)
本 名:池間 匠洋(いけま・たくみ)
ペンネーム:池間 たくみ
年 齢:17歳
学 校:沖縄県立宮古高等学校2年

〇宮古島市文化協会賞(優秀賞)
作品名:「きなこが教えてくれたこと
名 前:手登根 桐矢(てどこん・とうや)
年 齢:17歳
学 校:沖縄県立宮古高等学校2年

入賞作品選考評 選考委員長 森田たもつ

 受賞作はいずれも、メッセージ性に富んだ質の高い作品でした。

「音楽と猫」をモチーフにした若者らしいユニークな発想で描かれており、「物語の力」を感じました。

島の若者が生み出した物語として、内外に誇れる作品です。今後の創作の方向性としては、内面の描写だけでなく、情景描写、あるいは登場人物が五感で感じたことなどを積極的に取り入れていくことで物語に奥行きやリアリティーが生じ、より完成度の高い作品になると思います。

今回、入選にもれた中にも、主人公の設定や物語の斬新さなど、将来性を感じさせる作品がありました。

来年度も年齢の該当するみなさんは、ぜひチャレンジしてもらいたいと思います。


ひらけ、こころ!賞(最優秀賞)
『雷王の子』 池間たくみ

 ジャンル的にはSFファンタジーに分類されると思います。ライトという若いミュージシャン、ギタリストを主人公にした物語です。

かつて、戦争をしているふたつの国がありました。

その頃、ライトの父親である、今では伝説のギタリストとなったシデンがバンドのメンバーと共に戦場に現れ、平和への祈りを込めて演奏します。

その願いは、天の雷王に届き、王は地上に雷鳴を轟かせます。人々は驚き、恐れおののいて武器を捨て平和が訪れますが、時が経つとまた争いが始まります。

若きライトが、かつての父親のように戦場でギターを弾くと、雷鳴が轟き、再び平和が訪れます。

父親のシデンが戦場で、兵士たちに向かって「心を開け! 壁を捨てろ!」と叫びます。

人間の作り出したさまざまな壁が存在する今の世界を、若者らしい視点と発想で描いた作品からは、平和を祈る作者のメッセージが強く伝わってきました。

宮古島市文化協会賞(優秀賞)
『きなこが教えてくれたこと』 手登根 桐矢

 中学生の自分探しの物語です。恭花は、クラスメートの旭が、中学になってから急に嫌がらせするようになったことで悩んでいるが、解決策がどうしても見つかりません。

恭花はかつてきなこという猫を飼っていました。久しぶりにスマホの動画で亡くなったきなこの声を聞きます。人間の言葉が話せるきなこは、互いの想い出を語ります。

人には希望があり、誰とでも分かち合えるということを思い出させてくれたきなこ。恭花は前向きになりますが、じゅうぶんな解決策を得たわけではありません。

それでも希望を持ち続けます。物語のこの流れは、中学生だけでなく、人間社会の現実を正直に映し出していると思います。好感の持てる、読後感の良い作品でした。

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